柔軟性に優れた「竹」を素材に、独自の設計で牛舎を建てた、曽於郡大隅町大谷の小川原加治夫(こがはら・かじお)さん。暑さを嫌う牛の生理に合った清涼感あふれる牛舎は、近隣の農家からも注目されている。
竹製の牛舎は、妻のエキさんと知人の森山勇さん3人の手作りだ。最初に建てた1棟目は合掌作りで、4カ所の支柱に杉材を使用した以外はすべて、山から切り出した竹を使用。また屋根は、雨漏り防止に遮熱(しゃねつ)用シートで覆っている。次に建てた2棟目は、工事の手間やシートの無駄を省くため、片屋根作りに切り替えた。「筋交い」の多用で強度アップも図られている。
奥行き4メートル、間口9メートル、高さ3メートルの牛舎は区切りをつけて3頭の牛を飼養できる構造だ。材料費は、竹を結ぶマイカー線(ハウス用資材)とシート代のみで約4万円という。
竹の牛舎は風通しが良いため、アンモニア臭があまり気にならない。また、敷料が乾燥し、さらさらの状態で常に清潔に保たれるので、長持ちする。牛の病気も比較的少ないというメリットもあるという。
<写真:竹で作った牛舎。風通しが良く、敷料も乾燥しやすく清潔だ>