「お茶の改植用にと20年以上も前に作つたウインチですが、今でも大型機械が入らない圃場では活腱していますよ」と話すのは、藤津郡嬉野町下吉田の生田初男さんだ。
当時、茶農家では在来種からヤブキタ種への改植が行われていたが、在来種は根が土中に深く入っているため、チェーンブロックなどを使った方法では根を切らずに引き抜くことは難しく重労働であった。
「近所でも機械が入らない圃場では人力で改植する人がいましたが、大変な作業なので何か案な方法はないかと考えたのがこのウィンチです」と生田さん。
エンジンの動力を減速機とベルトクラッチを介してワイヤーを巻き取る構造だが、ワイヤーが締まるまでの高速巻き上げと、根を切らないようにするための低速巻き上げの二段階巻き上げの工夫がなされてい る。
生田さんは「最初は巻き上げ速度が合わず根が切れたため、プーリーを何回も変えた思い出があります。ベルト以外は中古品の利用ですからただ同然ですし、ワイヤーを継ぎ足せば木材の搬出も簡単ですよ」と話している。