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「難産介助用器具」を自分で考案、大きな効果(97年12月2週号・新潟版)

「これを2頭の子牛の難産介助に使いました。もしもの時には欠かせません」と話すのは、上越市和田で乳牛60頭を飼育する石平篤信さん。
 石平さん方ではホームセンターで購入した材料を使い、手作りの難産介助器具を製作。自宅で実際に使用し、大きな成果を上げている。
 通常、「前脚だけ陰門から出てきても、胎児の頭が産道に入ってこなくて難産になるケースが多い」と石平さん。腕を膣(ちつ)内に挿入して骨盤腔の入口に引っ掛かっている胎児の頭部を産道に持ってこようとしても、なかなか力ずくでは整復できない。
 そこで、獣医師が難産介助に使用するステンレスワイヤーの頭部整復用器具を参考に考えた石平さん。「ホームセンターなどにある材料で、十分な強度を持った器具が手作りできる」と往診に来ていたNOSAI新潟高田家畜診療所獣医師の助言を得て製作したもの。
 材料は直径3センチのステンレスワイヤーロープと部品2点。作り方はワイヤーの両端を2センチのへん平チューブに通しループを作り、先端から1メートルほどのところをボルトで締めつけるだけ。
 これを胎児の後頭部に掛け、チューブをあごの下部まで進める。ループを小さくした後、ゆっくりとボルト部分を握って引っ張れば胎児の頭部が産道に入ってくる。
 「へん平チューブでループの大きさを変えられるのがミソ。これならくびがワイヤーで締まることもない。ちょっとした工夫と安価な材料で便利な器具が作れる」と石平さんは満足そうに話している。
 なお、同器具製作をアドバイスした同診療所では、その使用にあたり「分べん介助は子宮に雑菌が入りやすいので、細心の注意が必要。介助者の手と分べん牛の陰部を十分にせっけんで洗浄し、器具は十分に消毒すること。使用後は洗浄・消毒をして保管してほしい」と話している。