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先を読む水田営農(14~15面・営農技術)【2021年1月1週号】

 水田は、日本の耕地面積の過半を占め、水稲のほか、麦・大豆・野菜などの生産基盤となっている。主食用米の消費減少が進み、農林水産省は非主食用米などへの転換を進めてきた。一方で、国際化や少子高齢化、気候変動が急速に進む中、足腰の強い水田営農には5年先、10年先を見据えた中長期的な視点が求められる。稲作のコスト低減や転作の増収に関する最新技術とともに、水田の付加価値向上など将来に向けたヒントを探る。

(14~15面・営農技術)

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転作大豆:カットドレーン 重粘土圃場も乾燥早く ―― 株式会社GFM(富山市)

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  水田輪換畑で大豆を栽培する富山市の株式会社GFM(前田仁一代表=65歳)は、圃場の排水対策を徹底し、大豆の収量向上に取り組んでいる。特に粘土質で水分の多い圃場では、通常行う額縁明きょによる表面排水に加え、カットドレーンを用いて地中に通水空洞を成形し、補助暗きょとして地下排水性を高めている。2015年には、これまでで最も多い10アール当たり320キロの収量を達成。「雨が降っても速やかに排水され乾燥が早い。雑草も生えにくく、大豆の生育がいい」と効果を実感している。

〈写真:大型トラクターに接続したカットドレーンと前田代表〉


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稲作:自動操縦ドローンで地中へ射出 空から精密に直播 ―― 石川県農林総合研究センター(石川県)

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 石川県農林総合研究センターでは株式会社オプティムと連携し、自動操縦の小型無人機(ドローン)による水稲湛水〈たんすい〉直播を実証している。上空から地中へ種もみを打ち込む条播方式で、田植機と同様の30センチ間隔とし、苗立ちの安定や生育の均一化、倒伏軽減が図れる。収量は乗用播種機による鉄コーティング湛水直播と同等以上で、作業時間はバッテリー交換や種もみ補給を含め10アール当たり6分と省力効果が高い。近未来型の稲作技術として、主食用米の国際競争力強化に加え、条件不利地の維持管理向けにも普及を目指す。

〈写真:低空飛行での播種。現状の機体は4条播きに対応する(株式会社オプティム開発)〉