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防風林「働き方改革~農業分野も実践を【2020年2月2週号】」

 ▼四国某県で1頭当たり年間平均乳量1万キロ超の酪農家を取材したとき、午前7時から翌日の午前1時ごろまで1日4回搾乳すると聞き、自分にはまねできないと舌を巻いた。20年ほど前の話だ。本人は、酪農が好きで作業の合間にしっかり休んでいると笑顔をみせていた。
 ▼政府は、1億総活躍社会の実現を掲げて「働き方改革」を推進する。やりがいを実感でき、働きやすい環境を整えるには、長時間労働をはじめ身体的・精神的な負担を減らす必要がある。今から思えば、酪農家本人は納得ずくでも家族はどう思っていたかが気にかかる。後継者はできただろうか。
 ▼農業は、長時間労働で身体的な負担も大きいイメージが強く、実際にそうした働き方になっている人も多い。取り扱いは軽量な葉物野菜でも、新鮮なうちにスーパーなどに届けるため、夕食後から夜中まで袋詰めをするという農家も取材した。
 ▼24時間営業が当然とされていたコンビニエンスストア業界では、加盟店オーナーが悲鳴をあげ、時短営業の実施など見直しが始まっている。これまで定着してきた慣習も含め、無理な労働となっていないかを検証し、必要に応じた見直しを考えるときがきているようだ。
 ▼都市部の若者が農村部への移住や行き来を志向する田園回帰の動きがある。そんな若者たちは、農業ではなく農的暮らしを求めていると言われる。情報通信技術(ICT)なども活用すれば、若者の手を借りつつ、農業の働き改革を実現できるのでは。