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今週のヘッドライン: 2012年1月アーカイブ

120131_01.jpg 農林水産省は25日、2012年度の加入から3年間適用する農作物(水・陸稲、麦)共済と園芸施設共済の掛金率の算定方式を決めた。NOSAI団体の積立金の水準に応じて掛金を引き下げられるよう見直した。水稲共済の新たな掛金は現行に比べ、全国平均で25%ほど下がり、園芸施設共済は7%ほど下がる見込み。同日開いた食料・農業・農村政策審議会の農業共済部会が諮問案を了承し、審議会として鹿野道彦農相に答申した。2月中に新たな掛金率を告示する予定だ。


 水稲共済の掛金率は、事業実績が確定した直近20年間の金額被害率を基に3年ごとに改定される。新たな掛金率は、1991年産から2010年産までの20年間の実績を反映。東日本を中心に冷害となった1988年産を含む88~90年産の被害率が抜けて、低被害だった2008~10年産の被害率が加わり、全国平均で約10%の引き下げとなる見込みだ。
 今回はさらに、算定方式を見直し、NOSAI団体が保有する積立金の水準に応じて掛金を引き下げる措置を導入した。農林水産省の説明資料では、水稲共済を実施する253組合等の9割で掛金が引き下げとなる。
 積立金の法定水準は、NOSAI団体が支払い義務を負う責任金額から保有掛金を差し引いた額の3~6倍の範囲で定められている。単年度で共済金の支払いが小さい場合、保有掛金との差額は将来の災害に備えるための共済金支払準備金として積み立てられ、法定水準までは共済金支払い以外に使えないこととなっている。法定水準を超える積立金が蓄積された場合は、総代会の議決を経て積立金を取り崩し、無事戻しや損害防止支援活動に充てることができる。
(1面)

〈表:共済掛金の引き下げ措置の対象組合数〉
〈図:2012年産から適用する算定方式のイメージ〉

 台湾などで口蹄疫の発生が相次いでいることを受け、農林水産省は24日、都道府県に対し、農場における飼養衛生管理基準の順守などを要請、生産現場での防疫対策の強化・徹底を呼び掛けている。1月30日~2月3日には、全都道府県で発生を疑う通報への対応や初動体制などを確認する口蹄疫の防疫演習を実施予定だ。2010年8月に口蹄疫が終息してから2月で1年半になるが、依然近隣諸国の発生は続いている。口蹄疫が侵入すれば、発生地域はもとより国内の畜産業に深刻な打撃となる。水際検疫の強化などを含め、侵入防止へ一層の警戒が必要だ。


 A 農林水産省は24日、台湾の澎湖島で口蹄疫が発生したと発表した。19日に本島・屏東(ヘイトウ)県から同島へ輸送された肥育豚数頭に水疱(すいほう)が見つかり、その後の検査で感染が確認された。台湾での発生は昨年10月30日以降4例目。いずれも口蹄疫ウイルスの"増幅動物"とされる豚が感染しており、大量のウイルスが環境中に放出されている可能性がある。
 B 中国・湖北省でも昨年12月27日に豚で発生を確認。一昨年秋から昨年春にかけての口蹄疫発生で約350万頭の家畜が殺処分された韓国では、定期的な全土のワクチン接種などでウイルスをコントロールしている状況だ。1月下旬は春節(旧正月)であり、各国とも人の動きや家畜の流通が活発化している。
 A 農林水産省は近隣諸国で口蹄疫発生が確認されるたびに各都道府県に対し、農場での飼養衛生管理基準(以下、管理基準)の順守徹底など指導強化を要請してきた。改正家畜伝染病予防法(昨年10月施行)に基づく管理基準では、(1)家畜防疫の最新情報の把握(2)農場内に衛生管理区域を設定し、不要不急な者の立ち入り制限や入場車両・者の消毒の実施(3)入場者の記録作成(1年間保存)――などを規定。日々の健康観察と特定症状確認時の早期通報・出荷停止を義務付けている。牛や豚が口蹄疫に感染すると39度以上の発熱や食欲不振となり、口腔(こうくう)内、蹄部などに水疱やびらんが見られる。畜産農家は日ごろから家畜の観察を心がけることが大切だ。
 B 防疫演習は全都道府県を対象に1月30日から2月3日まで順次実施する予定だ。県内農場から口蹄疫を疑う通報があったと想定して立ち入り検査を行い、病変部位の撮影や飼養状況を調査、結果を農林水産省に送付する。また、牛・豚の飼養密度の高い地域は3農場での発生を想定して迅速な殺処分や移動制限など必要な体制整備が構築できるかを確認する。演習後は都道府県ごとに自己評価し、結果は農林水産省が分析・評価し公表する予定だ。
(2面・総合)

120131_02.jpg 福井県美浜町の石丸勢津子さん(61)は夫の博治さん(62)と共に酪農(経産牛30頭、育成牛10頭)を営む傍ら、自宅庭に建てた工房「せっちゃん家のケーキ屋さん」でチーズケーキやプリンを焼いている。搾りたての自家産生乳をたっぷり使用し、添加物は一切加えない。チーズケーキは「生乳の自然な甘味がしっかりと感じられる」と好評で、販売数は年間2千個を超える。勢津子さんは「牛乳の付加価値を高めて、少しでも消費量を増やしたい」と話す。


 JR東美浜駅から徒歩で約15分。住宅街の中に工房「せっちゃん家のケーキ屋さん」がある。わずか8畳ほどの工房でスフレチーズケーキやプリン、生キャラメルを毎日作る。
 搾りたての生乳をふんだんに使うことを心がけていて、チーズケーキで1ホール(18センチ)に300ccを入れる。しっとりふわふわのケーキは、生乳の風味や甘さが感じられる素朴な味だ。少し離れた場所にある牧場から毎日持ち帰り、プリンや生キャラメルも含め1日平均10キロの生乳を使う。
 「おいしいケーキやプリンを焼くためには、牛が健康であることが一番」と勢津子さん。良質な稲わらサイレージを与え、搾乳前には一頭一頭愛情を込めてブラッシングをしている。
 チーズケーキ(1ホール18センチ)は2千円、プリンは2個入り300円、生キャラメルは550円(いずれも税込み)。地元を中心に県外からも注文が入り、内祝いや引き出物として利用されることも多いという。
 敦賀市や福井市などのイベントに足を延ばし対面販売も行う。「お客さんと直接話すとすごく楽しいし、ストレス発散になるの」と勢津子さん。今後は消費者との交流を深めるため、移動販売に力を入れたいという。
(3面・暮らし)

〈写真:試行錯誤して作り上げたケーキを手に勢津子さん。「新鮮な生乳をたっぷり使っています」と話す〉

120131_03+04.jpg 「今期は3割減収した。4~5割の減収となっている農家もある」と話す浜川明吉さん(71)=沖縄県南大東村旧東。南大東村さとうきび生産組合長を務め、妻の澄子さん(67)と2人で、サトウキビ8.6ヘクタールを栽培する。島(周囲20.8キロ)の約6割をサトウキビ畑が占め、基幹産業となっている。毎年のように台風と干ばつに襲われる島では、サトウキビ共済が農家の経営安定に大きな役割を果たしている。


 「さとうきびは島を守り、島は国土を守る」。収穫の最盛期を迎え、24時間フル稼働する沖縄県南大東村の製糖工場の煙突に大きく書かれている。南大東島は、那覇市から東へ約360キロに位置する。
 島では、約240戸がサトウキビを生産する。8~10月ごろに植え付けて翌々年に収穫する「夏植え」、3月ごろに植え付けて翌年収穫する「春植え」、収穫後に圃場に残した株から芽出しさせて栽培する「株出し」の3通りある。年末から3月ごろにかけて収穫する。大型機械の導入が進み、一貫した機械作業体系を採る。1戸当たりの栽培面積は約8ヘクタールと大規模だ。
 昨年末から今年3月ごろまで収穫する今期は、昨年1~3月の低温の影響で、発芽不良、生育不良が生じた。生育期には干ばつが発生し、7月の台風6号は、潮風害と茎折れをもたらした。「サトウキビ以外の作物は全滅してしまう。この島で作れる唯一の作物がサトウキビだ」と、浜川さんは話す。
 今期の島内の収量は、5万3千トン程度と見込まれる。豊作だった昨シーズンの約9万トンから大幅な減収となった。4回の台風と干ばつに見舞われた05年末から06年上旬にかけて収穫したシーズンは、生産量が3万トンを割り込んだ。
 サトウキビ共済(全相殺方式)は、糖度を加味して減収量を算定し、農家ごとに2割以上の減収となった場合に共済金を支払う仕組みだ。
 共済連絡員と南区長を務め、サトウキビ70ヘクタールを栽培する宮平昌さん(74)=南大東村南=は、「健康保険と同じ。必ず加入しておいた方がいい」と強調する。台風や干ばつなどの自然災害に見舞われない年は、5~7年に1度しかないという。現在、圃場面積の約65%が加入し、加入は増加傾向にある。組合の総代を20年以上務める浜川さんも、「共済金で助かったという人は多い。もしもに備えて、加入すべき」と話す。
(5面・NOSAI)

〈写真上:サトウキビ畑に立つ浜川さん夫婦〉
〈写真下:宮平さんが35年前に購入した大型トラクター。経費削減のため、溶接や機械修理も自分でする。「あと10年は乗るよ」と笑う〉

120131_05.jpg 農林水産省農林水産技術会議事務局はこのほど、「2011年農林水産研究成果10大トピックス」を公表した。11年に民間や大学、公立試験研究機関などが発表した104の研究成果のうち、内容に優れ、社会的関心が高いと考えられる課題を専門紙記者クラブの投票などを基に選定した。


 水稲の乳白粒の発生割合を収穫前に予測 ―― 九州沖縄農業研究センター、(株)ケット科学研究所など
 水稲の乳白粒の発生割合を収穫の10日前に予測する装置を開発した。被害の程度を事前に把握でき、米の品質管理への応用などが期待されている。
 装置は、100粒の玄米を切断する機器と切断面の画像を読み取るスキャナー、乳白粒をカウントする機器(専用ソフトを入れたパソコン)で構成される。
 検査には1筆につき3カ所から100粒ずつ採取。横断面の画像を解析すると、収穫時の乳白粒発生状況が予測できる。予測と収穫時の乳白粒発生割合はほぼ一致したという。品質低下の予測に基づき、仕分け入荷により共同乾燥施設への被害米の混入などを防ぐことも可能になる。
〈写真:白粒発生予測装置。左からスキャナー、玄米切断器、画像解析ソフトを入れたパソコン〉
(7面・特集)

120131_06.jpg 愛媛県農林水産研究所果樹研究センターみかん研究所(宇和島市吉田町)では、早生温州ミカンの樹〈き〉全体をハウス用のビニールで覆う「ぶらぶらハウス」を利用した完熟栽培技術を開発した。有袋栽培と同等の糖度を確保し、作業時間で5倍以上省力化できる。廃ビニールを調達できれば、資材コストの大幅削減も可能だ。収穫後もビニールを張り続けて樹体を保護すれば、隔年結果の軽減にも有効という。市場の評価が高い完熟栽培で農家の所得向上につなげようと、普及を進めている。


 早生温州ミカンの完熟栽培は、11月上中旬に成熟する果実を年明けまで樹に着果させ、糖度を上げて収穫する。良食味となり、市場では安定して高値取引されている。一方、浮き皮などの果皮障害や鳥害が発生しやすく、産地では有袋栽培が普及している。
 みかん研究所の菊地毅洋主任研究員は「袋がけは1日千果が限度の大変な作業だ。ぶらぶらハウスは、廃ビニールが手に入れば省力、低コストで栽培できる」と強調する。
 ぶらぶらハウスは、省力化と果皮障害防止を目的に研究所が開発した。樹全体をハウス用のビニールで覆う栽培法だ=別項、図参照。できるだけ丈夫な資材が望ましく、研究所では0.1ミリ厚のPOフィルムを使用している。
 樹の外周部にある果実はビニールとすれて傷ができやすく、大玉果は果皮障害が発生しやすい。「樹の内側にあるS玉以下を完熟栽培に残し、外周部やM玉以上は被覆前に出荷する」と菊地主任研究員。品種は浮き皮になりにくい「宮川早生」「興津早生」が適する。
(11面・営農技術)

〈写真:ぶらぶらハウスと菊地主任研究員。余ったビニールは1ヵ所に寄せて縛っている。完熟ミカンは収穫後で、全体を覆っていた防鳥ネットは外されている〉

 農林水産省は25日、2010年の農業総産出額は前年比0.8%(688億円)減の8兆1214億円だったと発表した。野菜や果実は価格上昇で増加したが、米の価格下落などが影響した。
 主要部門別は、畜産が0.2%増の2兆5525億円。野菜は7.8%増の2兆2485億円、米は13.6%減の1兆5517億円、果実は7.3%増の7497億円だった。
 畜産部門では、肉用牛は前年比3.7%減の4639億円で、生産量が減少し、価格も低下した。乳用牛は2.3%減の7725億円で生乳生産量が減少し価格も低下した。一方、豚は価格上昇を受け3.3%増の5291億円。鶏は鶏卵価格の上昇で3.8%増の7352億円となった。
 都道府県別では、北海道が9946億円で最も多く、茨城県4306億円、千葉県4048億円、鹿児島県4011億円、熊本県3071億円と続く。主要部門別の都道府県割合では、米は新潟県が1422億円(全体の9.0%)と最も多く、野菜は北海道2032億円(9.0%)、果実は青森県746億円(10.0%)、肉用牛は鹿児島県741億円(14.6%)、乳用牛は北海道3634億円(47.0%)などとなった。

(2面・総合)

120131_07.jpg 【愛媛支局】「エンジンはモノレールも車も同じ。修理できそうだな」。そんな思いつきから始まったボランティア活動から、NPO法人「RESCUE(レスキュー)911」はスタートした。代表を務める阿部欣也さん(41)を中心に農家の後継者13人のメンバーが、高齢化の進む農家の作業を請け負い、八幡浜市真穴(まあな)地区のブランドミカン「真穴みかん」の産地を守る活動を続けている。
 "レスキュー活動"は1~10月の農閑期を中心に、運搬用モノレールの整備、園地の道路補修、防風林の剪定(せんてい)、ハウスの解体など、収穫作業を除き高齢農家では困難な作業を引き受ける。農機具の故障など急を要する場合は、活動期間外でも対応する。
 「依頼が一人でもある限り、活動を通して産地を支え、地域の景観を守りたい。これからが勝負の時です」と阿部さんは力を込める。
〈写真:道具類を点検する阿部さん。農閑期には依頼が増えるという〉

120131_08.jpg 【京都支局】ナシやモモなどの果樹栽培が盛んな京丹後市久美浜町は、毎年、カラス被害に悩まされているが、昨年7月初旬におりを設置したところ、猟期に入るまでの4カ月間で、約100羽を捕獲。被害対策に成果を挙げている。
 久美浜町の農家を中心に構成する丹後果樹研究同志会(日下部啓作代表、25人)は、おりを使ったカラスの捕獲を模索。先進地の鳥取市福部町などを視察し、市の補助金や猟友会、福部町の農家などの協力も得て、久美浜町鹿野(かの)地区におりを設置した。おりの管理は、同志会のメンバーが交代で担当する。
 「カラスが好む餌や、水浴び場を用意して、カラスにとってのオアシスをつくりおびき寄せます。獣臭がするなかでの作業はきついですがメンバーも必死です」と同志会研究部長の牧野弘明さん(44)。さらに、「従来のロケット花火や爆音機を使った追い払いに、おりでの捕獲が加わったことで、被害は減少傾向です」と話す。
〈写真:「被害は減少傾向です」と牧野さん〉

120131_09.jpg 【長崎支局】露地野菜10アール、水稲30アールを栽培する大村市の山口続(つづく)さん(69)は、廃材でモグラ捕獲器を製作し、被害軽減に努めている。
 苦労したのは、両方のストッパーが同時に閉まるようにするところ。モグラの掘った通路に仕掛け、モグラが両側から入れるようにし、隙間ができないように膨張しないアルミのアングルを使うなどして工夫を凝らした。
 昨年の秋には10匹ほどを捕獲、1月にも2匹捕獲した。わなの設置場所が大切で、崖の近くは避け、モグラの通り道が直線になった穴に仕掛け、通り道が変わらないように注意する。
〈写真:自家製モグラ捕獲器と製作者の山口さん〉

120131_10.jpg 【新潟支局】長岡市高頭町の遠藤正敏さん(62)は、2005年から「天然にがり」を使った「こしいぶき」の栽培法を実践。天然にがりを使うことで稲の生育が旺盛となり、気象変動に強く収穫量も安定してきたという。
 栽培方法は、稚苗を移植の2~3日前に天然にがりの希釈液に浸してから定植。その後、6月~8月下旬までに3回ほど、希釈液を葉面と田面に散布する。倍率は散布時の天候や気温、田の状態を見て、200~500倍ほどで行う。
 結果は、田の微生物の活動が活発化したり、稲茎が硬く、穂はより黄金色になるなど良好だ。遠藤さんは「コシヒカリ」に負けないくらい粘りやツヤがあり、冷めてもおいしいと自負している。
〈写真:水田に天然にがり液を散布する〉

120131_11.jpg 【香川支局】高松市香川町東谷の「竹マルプロジェクト」(スタッフ12人)では2009年から、微生物の活動を活発にする働きがあるといわれている竹パウダーの生産を開始。昨年、農産物の増収や品質向上に有効な土壌改良材として活用する「竹パウダー農法」の実験を行い、一定の結果を得た。
 昨年、スタッフで水稲の対照実験を実施。1圃場を畳1畳分三つに仕切り、(1)化成肥料だけ(2)牛ふんと竹パウダーを混入(3)牛ふん、竹パウダー、米ぬか、籾殻(もみがら)を混入――で実験した。(2)(3)の竹パウダーは共に500グラム施用。それぞれの収量比率は3対4対5で、(3)は(1)の1・5倍だった。
〈写真:竹はスタッフらが製作した粉砕機で粉状にする〉

120131_12.jpg 【宮崎支局】「自慢の完熟ミニトマトで一つずつ丁寧に作ります」と話す、小林市堤の小川紘未さん(41)。夫の道博さん(33歳=おがわ農園代表)とミニトマト(ハウス14アール)を生産し、就農以来、完熟したものだけを収穫している。
 おがわ農園では、生産量の10%前後を規格外品として廃棄していた。規格外といっても、へたの取れや小さな傷程度。必要な選別とはいえ「どれもおいしいのに」との思いがあった。
 ドライトマトは、湿度の高い日本ではほとんど製造されていない人気商品で、今はネット販売だけで対応。また、化学添加物を使わないトマトジャムも評判で完売が続く。「収穫が忙しくてなかなか手が回りません」と紘未さんは話している。
〈写真:トマトを手に小川さん夫妻〉

 【秋田支局】地域特産「横手焼きそば」の麺で小麦の消費拡大を目指す、横手市清水新田の農業組合法人「塚堀農事生産組合」(高橋俊悦組合長、構成員9人、水稲57ヘクタール、小麦93ヘクタール)は、昨年から焼きそば加工用小麦の試験栽培に取り組む。
 横手やきそばを提供する地元店舗などが集まる「横手やきそば暖簾(のれん)会」(伊藤一男理事長)から「地元産食材の調達率を高めたい」と依頼を受け、2010年、岩手県農産物改良種苗センター(岩手県奥州市)から中華麺用の品種を入手。「ナンブコムギ」「ゆきちから」の2品種を40アールで栽培した。
 同組合の鈴木和一(かずいち)常務理事は、試食会のあいさつで「B級グルメの食材として大量消費につながれば、農家も生産意欲を持って栽培に臨める」と話した。

 ▼研究専門誌『畜産の研究』(養賢堂)が、新年号で「東日本大震災下の動物たちと人間の記録」を特集した。福島原発事故を中心に、研究者や獣医師、畜産農家などが現場の状況や影響を報告する。
 ▼特に住民が避難を余儀なくされた警戒区域(原発から20キロ圏内)からの報告は、畜舎内で餓死した牛や豚などの写真も多く、痛々しい。原発事故が引き起こした罪の大きさをあらためて考えさせられた。
 ▼餓死させるくらいなら放せばよかったとの指摘もある。しかし、行政の指示も混乱した状況での判断は難しい。報告では、畜舎を開放せずに避難した農家は、「すぐに帰れる」と説明を受けたり、家畜が近所を荒らしてはいけないと配慮したようだ。
 ▼数は不明だが、逃げたり放された家畜の存在が確認されている。ただ、警戒区域の家畜は、所有者の同意を得て殺処分実施が政府の基本方針で、公的に救う手だてはない。
 ▼研究者組織は、被災家畜を公共牧場などに避難させ、放射線被ばくの研究に使うよう政府に要請している。せっかく生き延びた家畜の殺処分など畜産農家も望まないはず。生かす方策を考えたい。

120125_01.jpg 政府は、食品中の放射性物質について、東京電力福島第1原子力発電所事故後に定めた暫定規制値に替わる新基準値案を策定、4月施行に向け準備を進めている。米・野菜などは、キロ当たり500ベクレルの暫定規制値を5分の1の100ベクレルにする。米や牛肉、大豆など農畜産物は、新基準値の適用で流通に混乱を生じないよう経過措置を講じる方針だ。風評被害や買い控えを招かないよう農地の除染や生産段階での吸収抑制、検査体制整備など新基準値を超える農畜産物の流通を防ぐ対策の徹底が重要だ。農林水産省は「生産現場での対応を徹底して、安心・安全な農作物の生産・流通に万全を期したい」(生産局総務課生産推進室)とする。


 厚生労働省は16日、都内で説明会を開き、食品の放射性物質の新基準値案と考え方などを説明した。「飲料水」はキロ当たり10ベクレル、「牛乳」は50ベクレル、米や野菜など「一般食品」は100ベクレルとする。新たに設定する「乳児用食品」は50ベクレルとした。
 食品の国際規格を定めるコーデックス委員会の基準を踏まえ、食品からの被ばく線量が年間1ミリシーベルトを超えないよう定めた。暫定規制値は年間線量を5ミリシーベルトとして設定したが、一層の安全と安心を確保する観点から、より小さい値に見直した。
 「牛乳」には牛乳、低脂肪乳、加工乳、乳飲料を含む。乾燥した野菜やキノコ類、海藻類など水で戻して食べる食材は、原材料と食べる状態で「一般食品」の基準を適用。茶は製造・加工後、飲む状態で「飲料水」の基準値を適用する。
 新基準値は4月から施行する予定。まず食品の原料が規制対象となり、加工食品は、3月31日までに加工したものは、賞味期限まで暫定規制値を適用する。生産や流通の実態を踏まえ、農畜産物は市場の混乱を生じないよう経過措置を講じる。米・牛肉は9月30日までを経過措置期間とし10月から、大豆は2013年1月から新基準値を適用する。
 農林水産省では、新基準値への移行に向け、検査体制や機器の整備を支援し、放射性物質検査を関係県・生産者が円滑、迅速に行えるようにする。併せて新基準値を超える農畜産物の流通を防ぐため、米の作付け制限や農地の除染、生産段階での吸収抑制対策などに取り組むとしている。
(1面)

〈図:基準値の見直しの内容(単位:ベクレル/キロ)〉

120125_02.jpg 農林水産省は、今秋にも官民共同出資による「農林漁業成長産業化ファンド(仮称)」の創設を目指す。農林漁業者が経営する6次産業化事業体の資本力を強化し、高収益な販路開拓や農林水産物の輸出促進など事業の多角化や大規模展開を支援する。公募で選定する地域ファンドを通して資本提供と経営支援(ハンズオン支援)を一体的に行う。2012年度政府予算案に300億円を計上し、関連法案を今通常国会に提出する予定だ。持続可能な力強い農業の実現に向け、6次産業化への期待は大きい。一方で、新事業展開はリスクを伴う上、経営が軌道に乗るには時間もかかる。現場の視点に立ち、リスクを最小限にしながら新たな事業展開が可能となるよう支援策を整備し、中・長期的に取り組みを支えていくことが求められる。



〈A〉農林水産省は、今後5年間で6次産業化の市場規模を現行の1兆円から3兆円に拡大し、10年後には農林水産業と同程度の10兆円規模にするとの目標を掲げている。その対策の柱が、農林漁業成長産業化ファンドの創設だ。
〈B〉ファンドとは、一般に事業を展開するための資本、運用資金のこと。農林漁業成長産業化ファンドは、国と大手金融機関や食品産業などの民間企業が共同出資して「株式会社農林漁業成長産業化支援機構」(仮称、以下支援機構)を設立。地方自治体やJA、地域金融機関、地元企業などが共同出資して設立する「地域ファンド」を通して、事業展開を目指す6次産業化事業体への資本提供と経営支援を行う仕組みだ。
〈A〉支援は、農林漁業者と6次産業化パートナー企業とで構成する6次産業事業体(合併企業)が対象だ。農林漁業者が主たる経営者となり、昨年成立した六次産業化法に基づく事業計画の認定を取得する必要がある。地域ファンドからの6次産業化事業体への出資は50%を上限とし、残りの半分以上(全体の25%以上)を農林漁業者が出資する。
(2面・総合)

〈図:農林漁業成長産業化ファンド(仮称)のスキーム〉

120125_03.jpg 本格的な冬を迎え、北日本から西日本の日本海側中心に各地で大雪となっている。これに伴い屋根の雪下ろしなどの除雪作業中の事故が多発。政府や関係自治体は、命綱やヘルメットの着用など安全対策の徹底を呼びかけている。除雪作業で事故を起こさないためのポイントなどを紹介する。


 大雪に伴い新潟県では85人の死傷事故が発生(17日現在)。そのうち除雪中の事故が58人と大半を占める。山形県でも16日現在で95人の死傷者が出ている。
 内閣府災害予防担当によると、雪による死亡事故で多いのは、除雪中の屋根やはしごからの転落だ。最近は65歳以上の死亡事故が多いという。内閣府と国土交通省は「命を守る除雪中の事故防止10カ条」をまとめ、転落事故を防ぐ命綱とヘルメットの着用などを呼びかけている。
 命綱の材質はザイルや麻ロープを使い、トラロープ(標識ロープ)は滑りやすいので使用しない。専用のアンカーや反対側の柱に命綱を結び、屋根の上で止まる長さに調整する。体への固定は、ホームセンターなどで売っている幅広の安全帯を使う。安全帯が無い場合、命綱を「もやい結び」で腰に直接結ぶ方法も有効だ。
 古い命綱は切れる心配がないか事前に点検し、使用する際は長さを調整して首や体に絡まないよう注意する。
 はしごは、基底部が滑ったり、かけた部分の雪が崩れて転落する事故も多い。足元をしっかり固め、上部をロープで固定するとともに、屋根に対してまっすぐ、軒先から60センチ以上高くなるようにかける。

(3面・暮らし)
〈図:命を守る除雪中の事故防止10カ条〉

120125_04.jpg 環境保全型農業の一層の推進を目指す「エコファーマー全国交流会ネットワーク化フォーラム」(主催・全国エコファーマーネットワークなど)が12日、埼玉県熊谷市で開かれ、全国から農家など約200人が参加した。放射性物質に汚染された農地の除染技術と農作物への吸収抑制対策を農林水産省の鈴木良典農業環境対策課長が報告。全国環境保全型農業推進会議の松本聰会長は、土壌中の生物多様性に着目した土づくりによる新たな環境保全型農業の展開を提案した。概要を紹介する。


◇微生物が息づく土づくり~新たな環境保全型農業の展開を目指して~
 全国環境保全型農業推進会議 松本 聰会長
 国の農業政策が食糧生産を重視していた1980年以前は、化学肥料や農薬を多施用する生産効率の高い農業を進めていた。その結果、有機物の投入が激減し、土の色が退色し、硬い土壌が多くみられた。土壌の保水力・保肥力が減り、水質汚濁など環境破壊が起こった。
 環境保全型農業は、化学肥料や農薬に頼らず、堆肥を施用し、天敵生物を導入して農薬使用量を減らしている。最近は、作物に微生物を接種して病害抵抗性を付与するエンドファイト法も注目されている。
 環境保全型農業の実践で、土壌機能が復活している。堆肥の連用で作土層は厚くなり、作物の根がより深く伸びるようになった。土壌の保水力が増して干ばつの影響が軽減され、土壌の透水性が良くなり、団粒が見られるようになった。

◇農地の除染と農作物への吸収抑制対策
 農林水産省生産局農産部農業環境対策課  鈴木 良典課長
 農地土壌からの放射性物質除染には二つの観点がある。農地の空間放射線量を減らし環境からの外部被ばくを低減する除染対策と、放射性物質の農作物への移行を減らし農産物からの内部被ばくを低減する吸収抑制対策だ。
 放射性セシウムは、耕していない農地土壌の表面から2.5センチの深さに95%が存在する。表土を削り取れば、放射性物質を除去できる。しかし、4センチの削り取りで10アール当たり約40トンの廃棄土壌が発生する。長年かけてつくった土壌を削るため、農業生産に大きな傷手となる。実証試験では、約4センチの削り取りで土壌の放射性セシウム濃度は75%に減り、地表面の空間線量は約半分になった。

(6面)

120125_05.jpg 野菜を花束のように組み合わせ、ギフ卜として全国に発送する――京都市中京区の野菜屋さん、「LojaVerde(口ジャベルデ)」が作る「工コベジ・アレンジメント」が人気だ。引口輝昭さん(45)が京都府南丹市の畑(1ヘクタール)で農薬や化学肥料に頼らずに作る野菜を妻の佑子さん(39)が飾り付けて販売する。京都土産や記念日の贈り物として口コミで広がり、昨年の母の日には150個程度を販売した。


「ただ見栄えをよくするだけでなく、献立を思い浮かべて作ります。料理に使いやすい構成にするのも腕の見せどころです」と佑子さん。カリフラワー、パープルカリフラワー、京ニンジン、コカブ、エビイモ、ハツカダイコン、菜の花――などを手際よく籠に盛りつけ、「野菜の花束」を作る。
 主な需要は、お中元、お歳暮、レストランの開店祝いなどのギフト用だ。結婚式用には紅白の野菜でアレンジする。予算に応じて作るが、3千~5千円程度の注文が多い。一年を通して母の日の注文が一番多いという。
 「エビイモを入れて」などの注文にも対応する。ギフトを受け取った客が、別の客に贈ったりと口コミで広がっている。
 「京都の台所」と言われる錦市場から歩いてすぐ。客3~4人でいっぱいになってしまいそうなかわいらしいお店だ。野菜の生産、輸送、販売、配達を引口夫婦二人で切り盛りする。カメラを向けると、「写真は苦手なんです」とはにかむ。明るい雰囲気にひかれて訪れる観光客も多く、週末には100人以上が訪れる。
 店舗での小売りやエコベジ・アレンジメントのほか、市内約60店の料理店に販売している。現在は小売りと料理店向けが半々の割合で、小売りの3~4割がアレンジメントだ。
(9面・流通)

〈写真:花束のように野菜を盛りつけた「エコベジ・アレンジメント」〉

120125_06.jpg 畜産物の安全性確保のため、農場の衛生管理向上や病原微生物の侵入・汚染リスクの低減など、健康な家畜や畜産物の生産が重要となっている。中央畜産会(中畜)は、昨年11月に国内初となる畜産農場の危害分析・重要管理点(HACCP)を認証する機関に認定され、第1次分として1月末まで認証審査申請の受け付けを行っている(以降は逐次受け付ける)。そこで、農場HACCP認証のあらましや認証のメリットなどを中畜の宮島成郎常務理事に聞いた。


 ――農場HACCPの内容は。
 宮島 HACCPは、原材料生産から加工・販売・消費までの過程で、工程ごとに危害分析(HA)し、危害を防止する重要管理点(CCP)を定めて、管理・改善を続けていく仕組みで、国際的に食品製造段階で活用されている。その手法を農場に応用したのが農場HACCPだ。日常作業の問題点を分析して明らかにし、リスクを減らす対策を実行する。健康な家畜を飼養し、安全・安心な畜産物の供給につなげるものだ。
 ――対象家畜は。
 宮島 牛(乳用、肉用)、養豚、養鶏(採卵、肉用)で、農場単位で審査・認証を行う。
 ――認証農場のメリットは。
 宮島 これまでHACCPに取り組んだ農場では、いずれの農場においても飼養衛生管理状況が大幅に改善され、特に飼養衛生管理に対する従業員の意思統一に有効で、考え方が前向きになり、改善点などを提案するようになったと大きく評価されている。また、生産性が大きく向上し、豚のと畜場での内臓廃棄率が3分の1に減少したとの報告もある。さらに、管理内容を記録に残すことから、畜産物に対する事故・苦情への適切な対応も可能となる。
(11面・営農技術)

〈図:農場HACCPの流れ〉

120125_07.jpg 日本特産農産物協会(小高良彦理事長)は16日、「特産農作物セミナー」を開催した。ナタネと茶の機能性や新品種育成の現状、生産・流通の課題をテーマに研究者や生産者が発表した。
 農研機構・東北農業研究センター畑作園芸研究領域畑作物育種グループの本田裕上席研究員は、ナタネ油を搾った後のナタネミール(油かす)を良質な飼料として高付加価値化できる可能性を指摘。「ナタネ油だけでは採算は採れない。ミール販売に重きを置いて、油料作物生産を考えることが重要だ」と述べた。
 ナタネミールには、ピロリ菌抑制や抗肥満効果が期待できるイソチアシアネートが含まれると報告した。一方、心疾患の原因となるナタネ油のエルシン酸や、ナタネミールに含まれ、動物の甲状腺障害の原因となるグルコシノレートは低い方が望ましく、これらの含有率が低い「ダブルロー」品種の選抜・育種を課題に挙げた。
 農研機構・野菜茶業研究所茶品質・機能性研究グループの山本万里グループ長は、茶品種「べにふうき」を事例に挙げ、茶の機能性を説明した。
 茶に最も多く含まれるカテキン類には、抗菌や生活習慣病予防、抗アレルギー、抗認知症など多くの機能性がある。特にべにふうきは、抗アレルギー作用を特に強く持つと報告。アレルギー性鼻炎有症者が緑茶を12カ月続けて飲用する試験では、くしゃみ発作や鼻汁、目のかゆみなどの自覚症状は「やぶきた」緑茶の摂取群に比べ軽症で推移したと発表した。
 また、べにふうきは、ショウガエキスと組み合わせて摂取すると、強い抗アレルギー効果が期待できると報告した。

(11面・営農技術)

〈写真:総合討議では、機能性を生かした特産農産物復興の可能性を話し合った〉

 農林水産省は13日、2010年度の全国の耕作放棄地は前年度比5千ヘクタール増の29万2千ヘクタール(推計値)となったと発表した。ただ、復元利用すべき耕作放棄地は、新たに7千ヘクタール発生したものの、1万ヘクタールの農地が耕作可能な状況に再生され、3千ヘクタール減の14万8千ヘクタールとなった。復元利用が不可能とみられる農地は7千ヘクタール増の14万4千ヘクタールだった。
 都道府県別では、最も耕作放棄地が多いのは、鹿児島県の2万746ヘクタール(実績値)で、長野県1万6834ヘクタール、福島県1万4250ヘクタール、長崎県1万3644ヘクタールと続く。
 再生された農地が最も多いのは、北海道の677ヘクタールで、茨城県640ヘクタール、静岡県638ヘクタール、石川県611ヘクタール、長崎県549ヘクタールなどとなっている。調査は10年4月から11年3月にかけて全国の市町村で実施した調査を基に農林水産省が推計した。

(2面・総合)

120125_08.jpg 【香川支局】集落内の農地は自分たちで守る――中山間地のまんのう町帆山地域では、高齢化による後継者不足から農地が遊休地化するのを防ごうと、2010年5月に「農事組合法人ほのやま」(香川誠治代表理事)を設立。非農家の協力も得て、無理、無駄、ムラのない農業経営に向けた活動を実践している。
 農作業を担う組合員のほとんどが、60歳以上の高齢者だ。日当の支給で若い活動能力のある非農家の参加を促し、水路や農道、ため池の草刈りや泥上げ作業の能率を向上。また、農業機械のオペレーターや農地改良工事は、地元土建業者と業務提携する。
 ここ30年、同地区で遊休地化した農地は皆無だ。近石理事は「農村の美しい景観を維持するため、若者に持続可能策をつくらせ、われわれは口を出さず、それに協力しながら次世代にバトンタッチしていきたい」と意気込む。
〈写真:農事組合法人ほのやまのメンバー〉

 【福島支局】東日本大震災で被害を受けた農地の再生を目指す、郡山市緑町の一般財団法人「東北農業支援ネットワーク」(渡邉常一代表理事)。昨年、福島県内の田畑数カ所で行った試験栽培で、数種類のソルガムが土壌中の放射性セシウムを効率よく吸収することが分かった。
 ソルガムは、エジプト原産のイネ科モロコシ属の一年草。成長が早く、畑や水田で栽培でき、気候環境を選ばずよく育つ性質を持つ。農地で栽培することで、土壌から放射性セシウムを吸収するため、表土を保全した状態での除染が可能となる。
 昨年、本宮市、二本松市、いわき市で、稲300種類、ソルガム200種類、ヒマワリやナタネなどその他30種類の植物を試験栽培した結果、ソルガムが吸収する放射性セシウムの量は、種類により1グラム当たりでヒマワリの約50~200倍となった。

120125_09.jpg 【福岡支局】みやま市瀬高町の末吉達矢さん(61)は、使わなくなった中古のトラクターを改良し、作業効率を高めている。
 末吉さんは「一般的なトラクターは、ほとんど肥料箱が後ろ付きで、ロータリーで土を掘り起こした後に肥料をまく仕組みです。これでは肥料が表面に落ちるだけで、土と混ざりません。そこで、肥料箱をトラクターの前面に設置してみました」と話す。
 この改良で、前方でまかれた肥料は、後ろのロータリーで土と均等に混ぜ合わさり、肥料の効率性が高まる他、即効性も期待できるという。
〈写真:2ヘクタールで水稲、麦、大豆を作付けている末吉さんと改良したトラクター〉

120125_10.jpg 【秋田支局】明治・大正時代から大仙市強首(こわくび)地区に伝わり、甘味と柔らかさが高い評価を受ける「こわくび白菜」。価格下落の影響などで生産量が減る中、同地区の「農事組合法人強首ファーム」(小山田和人代表理事、構成員24戸)は、地区の特産復活を願って昨年から生産を拡大している。
 「消費者の前から地区の名産が消えてしまう。このままではいけない」と、危機感を抱いた小山田代表は、生産拡大を決意。強首ファーム=水稲約38ヘクタール、キャベツ、エダマメなど野菜約4ヘクタール=で、栽培面積を一昨年の20アールから、昨年は3倍の60アールに増やした。
 「ブランド評価を高めるためにも、地区の生産量拡大は課題だった。安定した収入を確保できるJAとの契約が拡大につながった」と小山田代表は話している。
〈写真:ハクサイを手に小山田代表〉

120125_11.jpg 【埼玉支局】北本市の農事組合法人「北本そば組合」(加藤博代表=64歳、組合員14人)では転作ソバを栽培し、遊休農地解消に取り組みながら、地産地消に結び付けている。
 「北本そば打ち愛好会」(鈴木英司会長、会員5人)と連携し、地場産ソバの生産から加工・販売を行う体制を築いた。愛好会は、北本市農業ふれあいセンター敷地内の地域食材供給施設「北本さんた亭」を運営する団体だ。同農事組合法人がソバを生産し、そば粉を北本さんた亭に出荷。北本さんた亭が加工し、食事を提供している。
 加藤代表は「生そばの販売を計画中です。管内のJAの直売所に卸し、北本そばをPRできたら、新たな販路が生まれる」と意気込む。
〈写真:臼でソバをひく加藤代表〉

120125_12.jpg 【島根支局】セリ科の多年草で、葉や茎などにさわやかな苦味を持つハマボウフウ。その生産地として知られる松江市八束町で、独特の風味を生かした「ぼうふうと大根のしょうゆ漬け」が発売され、人気を呼んでいる。
 この加工品を開発したのは「八束町はまぼうふう生産組合」(渡部卓治組合長=76歳、14人)。規格外品の有効活用として、この開発に取り組んだ。商品は、ダイコンの歯応えとハマボウフウの独特な風味が楽しめるという。
 開発を担当した吉岡育子さん(54)は「味付けに苦労しましたね。ボウフウの風味をぜひ味わってほしい」と話す。
〈写真:ハマボウフウの加工品〉

 【大阪支局】茨木市商工会議所では、青年部の有志を中心に、「食」に対する理解を深めようと、「茨木稲作文化研究会(IIBK)」、「茨木畑作文化研究会(IHBK)」を結成している。
 「みんな意気込みはあるが、農業経験がない。私も最初は米作りのことが分からず、地主さんの指導通りに作業していました」と事務局の坂本雅司さん(36)。今では田植機やコンバインの作業もこなしている。
 「自分たちで作ったものはおいしい。仲間との絆が出来に反映しているのでは」と坂本さん。「作る喜びを分かち合える仲間を増やしたい」と話す。

 ▼高さ10メートルの屋根から落ちる雪が地面に衝突する際の速度は、時速35キロに達する。衝撃力も強く、場合によっては家の木組みを破壊する。直撃は、自動車との正面衝突にも等しいのだ。
 ▼また、何らかの状況で雪に埋もれた場合、30センチの深さから体を持ち上げるのは大人でも困難という。さらに口がふさがれてしまうと、15分を過ぎると生存率は急速に低下する。
 ▼北日本や東日本の日本海側地域を中心に、昨年末から大雪が続く。それに伴い、屋根の雪下ろしなど除雪作業中の死傷事故が増えている。雪景色を眺めるだけなら風情も感じられるが、生活者としてみれば雪の処理は厄介だ。
 ▼最近は事故に占める高齢者の割合が高い。過疎化や高齢化が進み、高齢者の独居世帯が増える状況も要因と指摘されている。特に屋根の雪下ろしは重労働で危険を伴う。しかし、従来は自分で片付けたとの自負や他人への気兼ねが邪魔をし、依頼しにくいようだ。
 ▼除雪の支援組織を作ったり、日を決めた一斉作業で助け合う例もある。降雪時期はもう少し続く。地域で痛ましい事故の防止に努め、安心して春を迎えてほしい。

120118_01+02.jpg 国内の野菜需要は現在、食の外部化が進んで家計消費用が減り、加工・業務用が過半を占めている。消費者の安全・安心志向を背景に、加工・業務用でも国産ニーズが高まっており、産地の安定出荷体制整備が重要だ。加工・業務用野菜は、あらかじめ出荷時期や価格、数量などを決める契約取引が基本で、農家には市場相場に左右されない安定経営が見込めるメリットがある。一方で、天候不順でも定時定量出荷の順守を求められ、単価も低めの設定となるなど課題もある。加工・業務用に的を絞り、工夫を凝らして生産に取り組む農家を取材した。


和歌山県紀の川市 河西伸哉さん

 「出荷時に売り値が分からない野菜を作る気はしない。加工・業務用野菜は効率よく大規模経営できるのも魅力だ」。和歌山県紀の川市粉河の「七色畑ファーム」代表・河西伸哉さん(29)は話す。2009年にUターンで新規就農し、借地で規模拡大を図りながら加工・業務用野菜の生産を軸とした経営確立を目指している。
 "露地栽培で無理なく育てコストをかけない"が経営のコンセプトだ。3.5ヘクタールの圃場で、今年はキャベツ250アールとタマネギ120アールをメーンとし、作付面積は年間延べ6ヘクタールになる。
 取引先のニーズに合わせ、品種は作付け前に提案する。現在、栽培する寒玉キャベツは重量に応じた単価設定のため、大きく育てるほど利益率は高くなる。株間は40センチと広めにとり、1玉2キロ以上を目標にする。河西さんは「市場出荷の常識や先入観を持っていないのが自分の武器」と強調する。


千葉県富里市 新井博さん

 「契約取引は、大きく育つほど多くの収入が得られ、『豊作貧乏』がないのが一番だ。毎月の賃金支払いがあっても安心して経営ができる」と、千葉県富里市十倉の新井博さん(54)は強調する。
 10ヘクタールの圃場で野菜を露地栽培する。春から夏はキャベツ、ニンジン、ネギを各50アールなど、秋から冬はニンジン4ヘクタールを中心にネギやキャベツ、ダイコンなどを生産。年間作付面積は延べ18ヘクタールに及ぶ。市場出荷も行う秋ニンジンを除いて、出荷のメーンは成田市のカット野菜業者との契約取引だ。
 取引価格は、市場相場のおおむね6割ほどの設定で、ニンジンはキロ50円という。一方、95馬力のトラクターやタンク容量千リットルの防除機など大型機械を導入。規格は簡素化し、通いコンテナを利用するなど省力化とコスト低減に努める。
 納期に確実に出荷できるように、予冷庫を活用。適期収穫した野菜をコンテナ詰めして保存する。

(1面)

〈写真上:約40センチに育ったコマツナを持つ河西さん。重量に応じた単価設定で、近隣の農家からは「取り遅れていないか」と聞かれるほどだ〉
〈写真下:1度に管理された予冷庫で新井さん。1月出荷分のネギやダイコン、ニンジンが積まれている。予冷庫は2庫(計25坪)ある〉

 農林水産省は、2012年からの2年間で集落ごとの農業将来図を記した「人・農地プラン」(地域農業マスタープラン)の作成を推進。担い手の確保・育成と農地集積を促し、平地で20~30ヘクタール規模の経営体が8割(現在3割)を占める土地利用型農業の実現へ対策を強化する。12年度政府予算案では、青年新規就農者に給付金を支給する事業に104億円を確保し、毎年2万人(現在1万人)の青年就農者定着を目指す。農地集積は、地域農業を担う中心経営体に農地を提供する者に協力金を交付する農地集積協力金に65億円を計上した。持続可能な力強い農業の実現には担い手の確保・育成や農地集積が課題となるが、特に水田営農は水路の管理など集落の暮らしや文化と切り離せない側面がある。地域実態に即したきめ細かなプランづくりを可能とする配慮が求められる。


 A 人・農地プラン(以下、プラン)は、市町村が集落ごとの話し合いを踏まえて中心経営体を位置付け、農地集積計画など地域農業の将来図をまとめるもの。農林水産省は「食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画」に基づき、昨年末に取り組み方針を決定。今後2年程度ですべての市町村での策定を目指すとした。12年度予算案には、プラン作成の支援事業(7億円)を盛り込んだ。合わせて担い手の確保・育成と農地集積を推進する。
 B 青年就農給付金事業は、研修を受ける就農希望者に年間150万円(最長2年間)を給付する「準備型」と、プランに位置付けられた青年就農者が就農して経営が安定するまで年間150万円(最長5年間)を給付する「経営開始型」で構成する。
 A 経営開始型の給付要件は、(1)独立・自営就農時の年齢が原則45歳未満(2)農地や主要機械・施設の所有・利用権がある――など。親元での就農でも、経営従事後5年以内に経営継承する場合や独立部門を経営する場合はその時点から対象となる。適切な就農でないと市町村が判断した場合などは給付を停止する。準備型は、就農予定時の年齢が原則45歳未満で、都道府県が認める農業大学校や農家などでの1年以上の研修が要件だ。研修後1年以内に就農しなかった場合などは給付金の返還を求める。
 A 農地集積協力金は、プランに位置付けた中心経営体への農地集積を促すため、協力する農地所有者に市町村などから協力金を交付する。土地利用型農業からの経営転換者や離農者、農地の相続人が交付対象となる「経営転換協力金」と、中心経営体の分散農地の集約に協力する農業者に交付する「分散錯圃解消協力金」を措置する。
(2面・総合)

120118_03.jpg 「おいしくて健康にもいいヤーコンで、地域を元気にしたい」と意気込む福井県あわら市の「あわらヤーコン倶楽部(くらぶ)」(8戸)の小川征純会長(68)=ヤーコン4アール、ニンジン90アールなど、あわら市波松。ヤーコンの葉から作った「ヤーコン茶」が好評だ。市内の産直市で販売し、遊休農地の解消に一役買っている。


 「ヤーコンは、手間がかからずとても作りやすい野菜だ」と笑顔を見せる小川さん。虫が付かないので、農薬は使わない。追肥も必要ない。獣害にも強い。湿気に弱いが、ヤーコン倶楽部のメンバーが展開する坂井北部丘陵地は、水はけがよく、被害はほとんど無いという。
 畝幅1メートルで5月上旬~中旬に植え付け、1株当たり約4キロを収穫する。11月初旬~中旬に収穫して倉庫に貯蔵し、4月ごろまで順次出荷する。「寝かせれば寝かせるだけ甘くなります」とメンバーの有井良二さん(73)。
 収穫したヤーコンは、JA花咲ふくいの産直施設「きららの丘」(あわら市牛山)などで販売する。イベントが開催される際は、メンバーの妻も店頭に立ち試食をすすめる。「さっぱりとした味を楽しむサラダ、さくさくした食感を生かしたきんぴら、てんぷらがおすすめです」などと、普段から調理する経験を生かして客に売り込む。
 ヤーコンの葉からはヤーコン茶を作る、「飲みやすく、体調も良くなった」と好評だ。葉は9月以降、木枯らしが吹くまで何度でも収穫できる。小川さんはかつて生産していたタバコを乾燥させる要領で、ハウスで葉を干す。
 飲みやすいようにティーバッグに入れた葉をきららの丘で販売(10個入り千円)する。また、県内の飲料メーカーと協力して、ペットボトル入りヤーコン茶(500ミリリットル、140円)も開発した。後味をすっきりさせるため、ウーロン茶を配合した。
 ヤーコン倶楽部は、ヤーコンで地域を活性化しようと、小川さんらが中心となり、2005年に設立した。さまざまな品種を試験的に植え付け、胴割れが少なく、地域に合った「アンデスのゆき」の栽培を決めた。年数回、会合を開き、作付けや販売計画、栽培技術などを意見交換する。新しくヤーコン栽培にチャレンジする農家を迎え入れると、栽培の方法などをメンバーが詳しく教える。
(3面・暮らし)

〈写真:ヤーコンの葉を乾燥させる小川さんと有井さん(右)〉

120118_04.jpg 昨年末から、北日本から西日本にかけての日本海側地域を中心に大雪があり、各地で園芸施設の倒壊事故が発生している。昨シーズンに比べ、現状では被害は少ないものの、気象庁の3カ月予報では、日本海側地域の降雪量を平年並みから多い確率が高いと予測している。気象情報に注意しながら施設の補強や施設周りの除雪を実施するなど、事前の雪害対策が重要だ。対策を講じても避けられなかった損害を補てんし、農業経営の再建を支援するのがNOSAI制度だ。園芸施設共済の仕組みについて、共子さんが済太郎くんに聞いた。


 共子 年末から年始にかけて大雪のニュースが度々あったわ。
 済太郎 気象庁によると11日現在、北海道や青森、秋田、山形、新潟、岡山、広島、鳥取、島根などの各県では、複数の観測地点で平年の2倍以上の積雪が観測されている。NOSAI鳥取(連合会)によると11日までに園芸施設は13棟の全壊を含む18棟に被害が発生。山形県では43棟(12日現在)、島根県では6棟の被害申告が出ている。一夜にして何十センチもの積雪に見舞われる例もあり、油断なく雪害対策を講じていく必要がある。
 共子 昨シーズンのように大きな被害は出ていないようだけど、対策は重要ね。
 済太郎 農林水産省では12月22日、全国のNOSAI団体(沖縄県を除く)を通じ、農家に適切な雪害対策を呼び掛けるよう通知した。事前対策のポイントは、応急補強用の支柱や筋交いを取り付けたり、室温を高めに保って滑落を促すなど。降雪後は、倒壊事故に巻き込まれないよう安全作業に努める必要がある。
 共子 最近は大雪だけでなく局地的な突風の被害も目立つわ。対策を講じるとともに万一の被害に備えてNOSAI制度への加入も大切ね。
 済太郎 農家にとって園芸施設は高価な生産資材だ。雪害や暴風雨など不慮の自然災害に備えて園芸施設共済には、ぜひ加入してもらいたい。共済責任期間(補償期間)は基本的に1年ごとで、契約更新して継続加入できる。同じ共済責任期間中は何度被害に遭っても、事故前の状態に復旧して栽培を続ける場合は、同じ共済金額(契約補償額)で補償を受けられるよ。施設は被害を受けてもすぐに補修して栽培を続けられる場合があるから、「全額主義」の仕組みが採られているんだ。
(5面・NOSAI)

〈写真:降雪や横風で倒壊したビニールハウス(鳥取県北栄町、12月27日、写真提供=NOSAI鳥取)〉

120118_05.jpg 徳島県のNOSAI南部(徳島南部農業共済組合、稲原和男組合長)では、安全な農作業に役立ててもらおうと、3トン未満のパワーショベルなどの運転に必要な修了証が取得できる講習会を開催している。本年度は昨年11月に実施し、20代~70代の組合員とその家族21人が受講。県内には講習を受けられる施設がなく「近くで受講できて助かる」と毎回好評だ。


 「安全操作の基本が学べた。来年は息子にも受講を勧めたい」と講習会を受講した粟飯原<あいはら>尊弘さん(69)=水稲30ヘクタールなど=は話す。
 講習は、コマツ教習所から講師の派遣を受けて土日の2日間開催する。1日目は組合会議室で学科講習を、2日目に実技講習を実施する。受講者は、講習代の実費1万6千円を負担する。
 学科講習では、走行装置や作業装置、関係法令を学ぶ。「自己流の操縦は危険。基本的な操作を学んでもらいたい」と話す平田正徳講師。「油圧ショベルのクレーンに荷物をつるすのは違反。荷物の落下でけがをする事故が多発している」などと安全な作業のポイントを強調した。1日目の最後には確認テストを実施する。受講生は説明に真剣に聞き入った。
 実技講習では、基本的な操作方法を学んでから、圃場を掘って埋め戻し、整地する作業などを実際に行った。「パワーショベルを操縦するのは初めて」という女性受講者は、最初はぎこちなかったものの、講習終了時には自信を持ってスムーズに操作していた。
 講習の正式名称は「3トン未満小型車両系建設機械の特別教育・安全衛生教育講習会」。修了者には、コマツ教習所が発行する「特別教育修了証」が授与される。
(5面・NOSAI)

〈写真:講師の指導の下、パワーショベルを操縦する受講者〉

120118_06.jpg 神奈川県横浜市泉区の杉山隆行さん(50)は、トマトの養液栽培で10アール当たり収量30トンを実現している。自家育苗した自根苗を定植し、4本仕立てにする。年2作の「中段密植」栽培で、収穫のピークは単価が高い10~12月の端境期に置く。出荷は、果実をオリジナルの袋に詰め、通いコンテナを利用して作業の省力化を図る。ハウス内はヒートポンプを中心にした変温管理で燃油を節減。液肥を無駄なく使うため、廃液を回収し、殺菌後に補正して再利用している。

 都市近郊で杉山さんは、トマトを中心にホウレンソウ、キャベツ、レタスなど多品目の野菜を1.5ヘクタールの圃場で生産している。トマトは25アールの鉄骨ハウスで養液栽培するほか、夏場は露地でも生産する。労働力は主に妻の富美子さん(50)との二人だ。
 養液栽培の培地にはヤシ殻を使い、品種は黄化葉巻病や葉カビ病などに耐病性を持つ「大安吉日」に統一した。7~8段の中段密植栽培で年2回作付ける。
 1作目は、6月上・中旬に播種し、25~30日後に10アール当たり880本を定植する。畝間210センチ、株間45センチ。杉山さんは「真っすぐ立てると裂けるため、寝かせたあと立ち上げる」と説明する。7~10日後に本葉4枚目でピンチし、4本仕立てにする。「3本以上に仕立てると、高温障害が出ず果実の玉そろいが良い」という。
 収穫は9月20日ごろから1月末までで、7~8段どりだ。収穫のピークは10~12月に置く。「収量は春に比べると2割ほど少ないが、単価が高いのが魅力だ」と杉山さん。
 2作目は11月9日ごろに播種し、1カ月後に定植する。1作目を収穫中の株間に苗を定植するインタープランティング方式を採用して、増収を目指す。10~15日後にピンチする。収穫は3月下旬から6月10日ごろまでで、6段程度で終了する。

(11面・営農技術)

〈写真:終盤にかかった1作目のトマト。「病気の発生を防ぐため、葉欠きはまめに行なっている」と話す杉山さん〉

 農林水産省は10日、2010年度の野生鳥獣による全国の農作物被害金額は前年度比26億円(12%)増の239億円に上ったと発表した。3年連続の増加で、調査を始めた1999年度以降で最悪となった。なお、調査結果には、東日本大震災で集計が困難となった岩手・宮城・福島3県内の13市町村は含まれていない。
 被害面積は8千ヘクタール(8%)増の11万ヘクタールで、被害量は11万6千トン(19%)増の74万トンだった。主要な獣種別の被害金額は、シカが7億円(10%)増の77億円で、イノシシが12億円(22%)増の68億円、サルが2億円(12%)増の19億円、クマが2億円(67%)増の5億円など。鳥類別ではカラスが1%減の23億円、ヒヨドリは118%増の11億円、カモは7%減の6億円だった。

(2面・総合)

 ▼国連食糧農業機関(FAO)は、穀物や砂糖、油脂などの国際価格から算出する2011年の食料価格指数が、測定を始めた90年以降で最高を記録したと発表した。豊作や経済停滞による需要鈍化で下半期の国際価格は下落したものの、通年では228ポイントとなった。
 ▼過去2番目は穀物価格が急騰した08年の200ポイントで、現在の水準がいかに高いかが分かる。昨年12月の月間指数は211ポイントに下がったが、FAOのシニアエコノミストは「世界経済、通貨およびエネルギー市場の不安定性を考慮すると、今後の見通しは予測不可能」と指摘する。
 ▼食料価格指数が高いとき、しわ寄せは途上国を中心とした低所得食料不足国に及ぶ。一方、世界の穀物生産は11年は過去最高の23億2300万トンと見込まれ、在庫の不足もない。バイオ燃料との競合も一因だろうが、価格形成や流通の仕組みに問題はないのか。
 ▼世界人口は50年までに90億人を超えると予測されている。飢餓の解消だけではなく、将来に向けた安定的な食料生産は人類の生存に直結する大きな問題だ。農地や水の確保、化石燃料依存からの脱却など課題は山積している。
 ▼環太平洋連携協定(TPP)など貿易自由化交渉では、工業製品と同様の扱いで農畜産物の保護削減が駆け引きされる。しかし、飢餓の問題や需給予測などの情報に接するほど、輸出国に有利な保護削減の推進は将来に禍根を残すのではと心配が募る。後戻りできない交渉で、危機が深刻化してから「想定外だった」と言っても遅いのだ。

 農業後継者の不在が問題となり、地域農業の存続を危ぶむ声がある。過疎化、高齢化に悩む地域もあれば、都市近郊で若者が農外に働きに出てしまう地域もあり、抱える事情はさまざまだ。いま耕している豊かな農地は先達が積み重ねてきた努力の成果であり、暮らしとともに何世代も引き継がれてきた。若者を地域に呼び込み、営農と暮らしを次の世代につなげようと工夫する人々がいる。各地の事例を紹介する。


120101_01.jpg    水田農業の企業的経営を実現 農の営み脈々と
  ―― 佐賀県吉野ヶ里町・株式会社「石動農産」


 佐賀県吉野ヶ里町上石動〈かみいしなり〉地区の株式会社「石動農産」(秋吉義孝代表)は、農地集積を進め、水田農業の企業的経営を実現している。特定農業法人として、地権者から耕作依頼のある地区内の水田をすべて引き受け、現在では上石動地区の水田70ヘクタールのほとんどをカバーする。経営の長期目標を規模拡大から経営安定化に移し、農業後継者の育成に力を入れる。就労時間や社会保障制度への加入など労働条件を整え、若者に魅力ある職場として、雇用を通じた農業者の確保に努めている。

〈写真:「若い力を取り入れて地域農業を守っていきたい」という秋吉さん(後列右)とキャベツ収穫に汗を流す社員〉

(3面・新年号特集)


120101_02.jpg    離農者の牧場を丸ごと委譲 技も心も伝えて
  ―― 北海道美深町・R&Rおんねない


 北海道美深町恩根内地区の酪農家組織「R&Rおんねない」は、酪農を志す就農希望者に着実に経営を継承する後継者育成事業を展開する。40歳未満の夫婦を条件に希望者を募り、全会員がかかわって研修し、離農する会員の農場を丸ごと引き渡す仕組み。継承後も営農指導など責任を持ってサポートする。後継者のいない8戸で設立し10年目となる今年、4組目の後継者が誕生する予定だ。真冬には氷点下30度を記録する厳しい自然条件下だが、就農希望者の立場から考えるを基本に、安心して新規就農できる環境を整備し、"若い酪農家が輝く持続可能なふるさとづくり"に挑んでいる。

〈写真:08年に森口時雄さん(66)から牧場を継いだ近藤さん夫妻。「今も農繁期などには親方(森口さん)が手伝いに来てくれてるんですよ」と剛さん。今後の目標は放牧酪農への挑戦だ〉

(5面・新年号特集)

120101_03.jpg    100坪の「実験農場」でお試し 苦学び楽を知る
  ―― 長野県伊那市・産直市場 グリーンファーム


 長野県伊那市ますみヶ岡の「産直市場 グリーンファーム」(小林史麿会長、70歳)では、「生き生き100坪実験農場」を運営する。農業未経験者に100坪の農地でお試し農業をしてもらい、就農への足がかりにしてもらうのがねらいだ。産直市場の生産会員が農地を貸して、必要に応じて技術指導に当たり、収穫物は直売所で販売できる。生産から販売まで一貫して経験することで農業の楽しさや苦しさを学べる仕組みだ。開設から3年が過ぎ、8人が専業農家として独立した。集落の高齢化や人口減少の中、新規就農希望の若者や定年退職者が集まり、地域に活気を呼び込んでいる。

〈写真:「100坪農場を通じて農業の醍醐味を味わってほしい」と話す小林会長(左)と、「経営を安定させ、今後は水稲にも挑戦したい」という田中さん〉

(6面・新年号特集)

120101_04.jpg    水稲柱に野菜などで多角化 若者を呼び込む
  ―― 島根県雲南市・農事組合法人「槻之屋ヒーリング」


 集落の農地9割を集積し、ブランド米の直販を軸とした経営を展開するのは、島根県雲南市木次町の特定農業法人・農事組合法人「槻之屋ヒーリング」だ。住民の半数が65歳以上となった槻之屋集落で、農地を維持しながら若者を雇用できる営農を追求する。雪が積もる冬季の労働確保にキノコ栽培を導入。近隣にできた道の駅のレストランと直売所出荷向けに、少量多品目の野菜栽培を始めるなど、経営の安定を図る。集落の景観保全活動や高齢者住宅の除雪も請け負い、安心して生活でき、魅力ある集落づくりの一翼を担っている。

〈写真:槻之屋ヒーリングのメンバー。右側が手前から斎藤代表と竹田さん。左側が手前から星野さんとアルバイトの川角広大さん(21)〉

(7面・新年号特集)

 政府は12月24日、2012年度政府予算案を閣議決定した。農林水産関係は11年度当初予算比95.7%の2兆1727億円で、別枠で確保した東日本大震災からの復旧・復興対策費(1557億円)込みでは102.5%の2兆3284億円となる。戸別所得補償制度は所要額6901億円を計上した。人材育成では、新規青年就農者に給付金を交付する事業などに136億円を確保。農地の出し手に協力金を交付する事業は65億円を計上した。6次産業化推進では、担い手の資本力増強に向け官民共同のファンド創設に300億円を確保した。NOSAI関係予算は共済掛金の一部を国が負担する「共済掛金国庫負担金」は要求額を確保し、約17億5800万円減の893億4500万円を計上した。


 政府は12年度を「食と農林漁業の再生元年」と位置付け、5年で達成を目指す「食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画」に基づく施策を集中展開する。
 持続可能な力強い農業の実現に向け、戸別所得補償経営安定推進事業(新規)に72億円を確保した。市町村などが集落・地域ごとの合意形成で策定する「地域農業マスタープラン」づくりを支援し、農地の出し手に協力金を給付して中心経営体への農地集積を図る。就農前後の新規青年農業者に給付金(年間150万円、最長7年間)を交付する青年就農給金事業は、104億円を計上。中山間地域等直接支払交付金は259億円、農地・水保全管理支払交付金は247億円を確保した。
 6次産業化・成長産業化の推進では、6次産業化事業者の経営を支援する農林漁業成長産業化ファンド(仮称)創設に財投資金(出資・貸付含む)300億円を計上。6次産業化プランナー確保と活動支援、農林水産物輸出戦略の立て直し、新産業創出などの支援に95億円を確保した。環境保全型農業直接支援対策は26億円を計上した。
(2面・総合)

120101_05.jpg    <現地ルポ>
仙台いちご ブランド復活へ力強く踏み出す
  ―― 宮城県亘理町・小山いちご生産組合


 東日本大震災の津波で壊滅的な被害を受けた宮城県の亘理町と山元町のイチゴ農家が、「仙台いちご」のブランド復活に挑戦している。被災農家の一部が阿武隈川沿いの亘理町逢隈小山地区に移転し設立した「小山いちご生産組合」(8戸、約2.5ヘクタール)は12月14日、初出荷にこぎ着けた。延べ約5000人のボランティアの力を借りてハウスを再建。トラクター、運搬機などを共同購入し、産地復活に向けて歩みを進めている。

 「クリスマスまでの出荷を合言葉にがんばってきた。家族や仲間と支えあって乗り越えた苦労を思い出すと、言葉にならない」と話す花坂義男さん(61)。妻と息子の博信さん(36)の3人でイチゴを初出荷した。
 山元町高瀬新浜地区に住んでいた花坂さん。海岸から300メートルのイチゴのハウスで作業中、激しい揺れに襲われた。ラジオで津波を知り、自宅に戻って趣味のカメラなどの貴重品を2階に移した。「夕方には帰るんだから」と、着の身着のまま避難した。しかし津波は、集落の全80戸の住宅や農地を根こそぎ奪った。花坂さんも自宅とイチゴのハウス(55アール)、水田(1.8ヘクタール)を失った。息子に経営移譲を考えていた矢先だった。
 NOSAI亘理名取(亘理名取地方農業共済組合、佐藤捨夫組合長)のNOSAI部長として、震災前は事業推進や水稲共済細目書異動申告票の配布、確認などに積極的に取り組んでいた。津波で集落は壊滅し、農家は仮設住宅やほかの市町などにばらばらに転居している。今でも可能な範囲で組合の広報紙やお知らせの配布などは続けている。
 「NOSAIは小回りがきいた。避難所もいち早く訪ねてくれた」と花坂さんは評価する。「義援金などと比べても共済金の支払いが一番早かった。とても助かった」と笑顔を見せる。

〈写真上:新築したハウス内でイチゴの手入れをする花坂さん〉 〈写真下:「園芸施設共済の補償充実を」とNOSAI亘理名取の佐藤捨夫組合長(右)に申し入れる浅川さん〉

(9面・NOSAI特集)

120101_06.jpg    <座談会>
東日本大震災・復興への課題とNOSAIの役割
  ―― 宮城県NOSAI亘理名取管内


 3月11日に発生した東日本大震災は、「仙台いちご」の産地として知られた宮城県亘理町、山元町にも甚大な被害をもたらした。NOSAIは、NOSAI部長をはじめ組合の役職員が自ら被災しながらも、被災状況の把握や被害申告の呼びかけ、共済金の早期支払いに努め、地域の一員として役割を果たしてきた。こうした中、被災農家8戸は、「もう一度農業を再開したい」との強い思いで小山地区に移転してハウスを再建。「小山いちご生産組合」を設立し、経営を再開した。地域農業の復旧、復興に向けた意気込みや課題、NOSAIに期待する役割などを話し合ってもらった。

〈写真:NOSAIの果たすべき役割や要望などを話し合った。左から、NOSAI部長の花坂義男さん、イチゴ農家の浅川淳一さん、亘理農業改良普及センターの鵜飼尚美所長、NOSAI亘理名取の遠藤敏明参事〉

(10~11面・NOSAI特集)

120101_07.jpg 本紙3面の「晴れ間」欄を昨年1年間執筆した農家女性が、1泊2日の交流会を開いた。北海道の岸喜美子さん、栃木県の人見みゐ子さん、福井県の尾崎恵里さん、大阪府の久保充己さん、大分県の江藤国子さんが岩手県奥州市胆沢区の及川久仁江さんを訪ねた。農家レストランや直売所、漆塗り工房を見学し、久仁江さんが運営する農家民泊「まやごや」に宿泊した。農業の楽しさや苦労、それぞれが受け入れる農業体験のエピソードなど話題は尽きず、たくさん食べて飲んで笑って思い切り親交を深めた。

(12~13面・特集)

〈写真:左から時計回りに、尾崎恵里さん、江藤国子さん、及川久仁江さん、及川朝美さん、久保充己さん、人見みゐ子さん、岸喜美子さん〉

120101_08.jpg 「カシュ、カシュ、ジィ、ジィ」「ドッ、ドッ、ドッ、ドッ」「ポンッ、ポンッ、ポンッ、ポンッ」――いろんな型式の石油発動機が集まり、個性的な音を響かせる。発動機は、懐かしさやメカニズムの格好よさ、油のにおい、エンジン音の心地よさなど、見る人、触る人ごとにさまざまな思いや感動を呼び起こす。茨城県発動機遺産保存研究会(小林隆雄会長)の呼びかけで12月4日、岩手県~高知県まで75人・125台の発動機が筑西市協和地区に集結。「発動機展示運転会」に参加した愛好家の思いを聞いた。



茨城県発動機遺産保存研究会会長・小林隆雄さん

 放置され、眠っている石油発動機をたくさん発掘して、動く状態で後世に残していきたい。何もしなければ、消えていくばかりだ。列車の整備に携わる仕事柄、機械の扱いに慣れているが、分解、修理して息を吹き返したときは、何とも言えない感動がある。
 茨城県の会員は現在30人ほど。発足は、7年ほど前のテレビ番組の取材がきっかけ。番組プロデューサーの「発動機を集めて一斉に動かそう」との提案に、集まったメンバーを中心に会を立ち上げた。研究会主催の運転会は年間3~4回だが、興味ある人はトラックに発動機を積んで他県のイベントにもどんどん出かける。
 私は今年、熊本や広島、愛知県などに遠征した。機械の魅力に加えて、交流の面白さも味わえますよ。
 ▽36歳、鉄道会社勤務

(17面)

〈写真上:運転会には大小さまざま発動機が並ぶ。小さい発動機は主に農業用、大きい発動機は製材所や紡績工場などで活躍したもの〉

120101_09.jpg 近年、果実を味わい、花や葉を楽しむ特産果樹が注目されている。収穫した果実はそのまま食べるほか、直売所で販売したり、ジャムなどに加工して楽しむことも可能だ。ハウスと加温設備を持つ農家なら、片隅で熱帯果樹を栽培すれば楽しみの幅が広がる。主な特産果樹の特徴や栽培、ジャム加工のポイントを紹介。併せて、定年後に本格的に始めた熱帯産果実を商品化してきた農家を取材した。

 「熱帯果樹を育てるのは楽しい」――。和歌山県串本町大島の小山松壽さん(81)は、マンゴーやドラゴンフルーツ、アテモヤなどの熱帯果樹を栽培する。マンゴーは加温ハウスで、それ以外は無加温ハウスで生産し、完熟した果実は直売所などで販売している。
 本州最南端の町、串本町で小山さんは、熱帯果樹をビニールハウス4棟40アール、野菜20アールを妻の凉〈すずし〉さん(73)と経営する。マンゴーやドラゴンフルーツのほか、アテモヤ、チェリモヤ、パイナップル、パパイアなども数本ずつ植えている。
 マンゴーは最低気温を10度以上に保つため、12月初旬から加温する。品種は主に「アーウィン」で、果実が1.5キロになる「キーツ」も植えている。
 開花は2月末からで、小山さんは「サクラに負けないくらいきれいだ」という。授粉にはハエを使う。そのためハウス内には魚のあらを置いて、ハエの発生を促す。また、多くの病気にかかりやすいため、薬剤による予防が欠かせない。
 「授粉がうまくいくとドラゴンフルーツは作りやすい」と小山さん。挿し木して3年目から実がなる。自家不和合性があり、小山さんは赤肉系と白肉系を混植。赤肉系は18度、白肉系は23度で開花するため、ハウス内の換気を行って温度調整する。夜間に開花して太陽光が当たるころにはしおれるので、明け方6時ころに人工授粉する。
 開花から収穫までは約1カ月と短く、6月末、9月末、12月中旬の年3回収穫が可能だ。肥料と水を与え、病害虫はカイガラムシ防除だけという。

(18~19面・営農技術)
〈写真:ドラゴンフルーツを手に「果実は全て完熟で収穫するため、おいしい」と話す小山さん夫妻〉

 2011年産水稲の共済金(沖縄県の二期作を除く)は、農業共済新聞調べによると全国で40億4千万円。麦共済金は192億1千万円となった。NOSAI団体は昨年末までに支払い(一部仮渡し)を完了した。
 都道府県別の水稲共済金支払額は、新潟県が7億8千万円、山形県が2億8千万円、宮崎県が2億4千万円――など。全国の水稲作況指数は平年並みの101だが、新潟県では、7月に新潟・福島豪雨による冠水・浸水、9月にフェーン現象が発生した。山形県では庄内地方を中心に、5月に低温、6月に集中豪雨、9月にフェーン現象が発生。宮崎県では早期米に渇水、普通期米には登熟期の大雨で倒伏の被害があった。
 麦共済金の支払額は、北海道は92億7千万円だった。春先の天候不順による生育不良や開花期以降の高温による登熟不良の被害が出た。九州地区では、福岡県が29億6千万円、佐賀県が12億9千万円、熊本県が6億円など。収穫期の降雨で作業が遅れ、倒伏や穂発芽などの被害があり、品質も低下した。
 陸稲共済金は全国で1千万円となった。

(2面・総合)

120101_10.jpg 【青森支局】家事や育児をこなしながら農業に取り組む、優しく、たくましい女性たち。元気に頑張る姿を紹介します。

〈写真:「ふじ」のもぎ取り作業に精を出す藤崎町の中田明美さん〉

120101_11.jpg 【岩手支局】東日本大震災や東京電力福島第1原発事故による風評被害、TPP参加問題などの厳しい農業情勢下でも、県内各地では「夢」を持ち、前向きに農業へ挑む若者たちがいる。経営改善を図りながら、岩手の農業を拓(ひら)くため、頼もしく活躍する若い力にスポットをあてる。

〈写真:遠野市の吉田敦史さん(38)、美保子さん(38)夫妻は規格外野菜の活用を考え、カフェ「CAFEベジトル」を昨年7月にオープンした〉

120101_12.jpg 【宮城支局】東日本大震災以降、まだまだ傷は癒やされていないが、9カ月たった今、人々はあらためて「食の大切さ」や「人と人との絆の大切さ」を感じている。こんな時こそ女性の明るさとパワーが農村、豊かな宮城の農業を元気にする。

〈写真:共同で栽培した野菜などを使った料理を提供する柴田町の農村レストラン「縄文の幸」のメンバー〉

120101_13.jpg 【秋田支局】農業に大きな痛手を与える数々の自然災害。特に昨年は記録的ともいえる豪雪、未曽有の大地震、度重なる局地的豪雨などの被害が生々しく記憶に残る1年だった。こうした中、自然の脅威に屈することなく前向きに農業に取り組むたくましい農家の姿は心強い。新たな年を迎え、再び自らの「農」にかける人たちを紹介する。

〈写真:田植えへ集落が団結~「圃場の復旧はこれからが勝負。もう一踏ん張りだ」と、今年の出来秋に向けて気を引き締める能代市天内地区の農家、山崎久敏さん(右)と須合清美さん〉

120101_14.jpg 【山形支局】農産物価格の低迷や後継者不足など、農業を取り巻く環境は依然厳しい。そんな逆境に立つ農業に、山形県立農業大学校(新庄市)を経て、昨年就農した3人をクローズアップする。在学中から就農を見据えた研究活動が「全国農業大学校プロジェクト発表会・意見交換会」で評価されるなど、彼らの志は高い。将来の本県農業を担おうとする若者たちの活躍を紹介する。

〈写真:鶴岡市の遠藤孝明(たかよし)さん(21)。定植したイチゴ苗の管理に余念がない〉

120101_15.jpg 【福島支局】今年は、東日本大震災から1年が経過する年となります。新しい年を迎え、福島県のさらなる復興と農業の再生を願いながら、各組合管内のNOSAI部長に現在の思いを聞きました。

〈写真:「風評被害から脱するため、独自の対応を図り、堆肥、くん炭などの検査もしていく予定です」と話す二本松市の山崎清典さん〉

 ▼政府は、2012年度予算を「日本再生元年予算」と位置づけた。東日本大震災からの復興とともに新産業創出など成長力強化に尽力し、経済成長と財政健全化の両立を実現するという。
 ▼重点5分野の一つに農林漁業の再生を掲げる。農地集約化と若者の新規就農、6次産業化などの施策を通じ、若者が魅力を感じ、創意工夫を生かせる農業への改革を推進するとした。前提に据えるのは、高いレベルの経済連携推進と両立可能な競争力強化だ。
 ▼世界共通ルールによる貿易体制を目指した世界貿易機関(WTO)の今次交渉は、事実上頓挫した。150を超える国と地域が参加したが、先進国と新興国の対立で一致点を見いだせなかった。
 ▼貿易交渉の主軸は、環太平洋連携協定(TPP)をはじめ少数国間の自由貿易協定(FTA)などに移る見通しだ。しかし、経済的に強い国同士が結びつき、他国を排除する経済圏のブロック化を招く懸念がある。WTOは内外無差別が原則で、協定国以外を排除する経済連携は、自由化を促す例外との位置づけだった。
 ▼WTO交渉で、日本は「多様な農業の共存」を主張した。農業の価値は農産物生産にとどまらず、国土や自然環境、伝統・文化を含む多面的機能を守ると訴え、各国の事情に配慮を求めた。
 ▼TPP交渉参加に前のめりの政府からは、こうした考えすら消えたようだ。高齢化や後継者不足は地域の景観や伝統・文化の危機でもある。競争力強化だけで賄えない価値の継承も政策の柱に位置づけるべきだ。

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