家族で水田の大規模経営を展開する滋賀県長浜市上八木町の前田和宏さん(44)は、水稲を中心とした環境保全型農業に取り組む。県が推進する「環境こだわり農業」の作付面積を増やし、元肥一発肥料の側条施肥や微生物農薬などの利用で、化学肥料や化学合成農薬の使用量を削減、濁り水の流出防止など琵琶湖をはじめとする環境への負荷低減に努める。農地の多くは借地だが、連坦〈れんたん〉化を進め、地主の了解のもと畦〈あぜ〉を無くして、機械化による作業の効率化を図っている。
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前田さんは圃場42ヘクタール(自作地2.5ヘクタール)で、水稲31ヘクタール、転作田11ヘクタール(小麦後作に大豆)を本人夫妻と両親で経営する。水稲は「コシヒカリ」19ヘクタール、「キヌヒカリ」と「日本晴」をそれぞれ3ヘクタール、「あきたこまち」と酒米「美山錦」を合わせて6ヘクタールほど。ブロックローテーションによる地域の集団転作に参加し、3、4年で一巡する。
化学肥料や農薬の使用量5割削減を基本とする環境こだわり農業に取り組む水田は4割ほどだ。前田さんは「すべての水田で実施するには、濁水をゼロにしなければならず難しい」と話す。
化学肥料の削減は、側条施肥田植機を使って苗の近くに元肥一発肥料を施用する。全層施肥に比べ肥効が早く、利用率が高まり10~30%の低減が可能だ。有機成分を半分含む肥料を使用し、基準よりも1割ほど少なめに入れ、不足した場合は追肥で補正する。大豆後作は根粒菌によるチッ素固定で地力が高まることから、水稲は元肥なしで栽培する。
化学合成農薬の削減では、「圃場の立地条件から、雑草が多い水田は除いている」と前田さん。水持ちが悪いと雑草が生えやすいため、田おこし前には畦塗りや畦波シートを設置して漏水を防ぐ。種もみ消毒には、散布回数にカウントされない微生物農薬を使用する。
環境こだわり農産物の栽培基準では、化学合成農薬の使用量は7成分以下となっている。前田さんは、除草剤(3成分)、殺虫・殺菌剤(2成分)、夏場はカメムシ用の殺虫剤(1成分)を使用。場合によっては除草剤(1成分)を使うという。
前田さんは、10年ほど前から約1ヘクタールで環境こだわり農業に取り組んだ。現在は12ヘクタールに拡大している。
(11面・営農技術)
〈写真:「年間で1千袋使うため米袋を作った」と話す前田さん〉