宮崎県は22日、県内のすべての牛・豚飼養農家を対象に口蹄疫の清浄性確認検査を始めた。疑似患畜の発生確認から3カ月が経過、ようやく終息の兆しが見えてきた。ただ、発生農場のふん尿処理など清浄性確保に向けた作業は残っており、周辺にはウイルスが潜む可能性があるため、油断はできない。感染源・ルートの解明など今回の発生事例を検証し、防疫体制の強化につなげる必要がある。また、爆発的な感染拡大は、約1300戸の畜産農家の家畜約28万7千頭の命を奪った。国内有数の畜産地域復興に向け、生活面も含めたきめ細かな支援の充実が求められる。口蹄疫をめぐる状況を話し合った。
A 宮崎県の清浄性確認は、獣医師による目視検査で、8月11日まで県内約7700戸の牛や豚について口蹄疫の症状の有無を確かめる。新たな発生がなければ27日にも終息宣言を出す方針だ。口蹄疫根絶に向け、新たな段階に入った。
B 国内で10年ぶりの発生となった口蹄疫は、4月20日の都農町での1例目確認以降、県東部地域を中心に爆発的に感染が拡大。5月17日には1日で15例、2万8452頭にも上る疑似患畜が確認された。7月4日の292例目(宮崎市)以降、22日までに新たな発生はない。患畜・疑似患畜は21万1千頭を超え、口蹄疫ワクチン接種家畜を加えると約28万7千頭が処分された。疑似患畜が確認された地域は5市6町に上る。
C 殺処分や移動制限・搬出制限による出荷停止に伴う減収分などについては、畜種ごとに一定額が補てんされる。ただ、その後の具体的な支援内容は決まっていない。
A 今回、爆発的な感染拡大を招いた原因の一つは、殺処分・埋却が追い付かなかったことだ。感染家畜の生存がウイルス拡散につながったと指摘されている。埋却地を確保できず、ピーク時には殺処分待機頭数は約7万頭にまで積み上がり、政府は5月19日に殺処分を前提とした国内初の口蹄疫ワクチンの使用に踏み切らざるを得なくなった。実際には県や国が協力しているものの、畜産経営の規模拡大が進み、殺処分・埋却を農家の責任と規定した現行の家畜伝染病予防法(家伝法)も、実態に合っていない。
B 初動の遅れを指摘する声もある。農林水産省と宮崎県の発表では、1例目の農場では、4月9日に症状を示す牛が見つかっていた。
A 現地では懸命の防疫措置が行われた。全国から派遣された獣医師などはのべ2万4千人余り。1万8千人以上の自衛隊員も活動に協力した。NOSAI団体も7月13日までに、全国から56人、県内78人の獣医師が防疫措置などに従事。一般のNOSAI職員239人も車両消毒や殺処分の補助にあたった。現場では大型家畜の扱いに慣れたNOSAI獣医師の技術が高く評価を受けている。
B 一方で、家伝法の手当金と家畜共済の共済金の関係整理が課題に挙がった。家伝法の家畜の評価額と家畜共済の評価額の差があり、家畜共済の補償範囲が小さくなる例がある。西日本地区農業共済組合連合会会長等会は、家伝法の手当金や特措法の殺処分奨励金と家畜共済の補償分野について整理を求める緊急要請を山田正彦農相に提出している。
(1面)
〈写真上:埋却作業の様子(写真=都城市提供)〉
〈写真下:消毒ポイントでは24時間体制で車両消毒が行われた(写真=NOSAI連宮崎提供)〉