奈良県明日香村の農事組合法人「一穀あすか」は、基盤整備後に耕作放棄された農地3ヘクタールを再生し、観光農園や農業体験に取り組む。経営内容が異なる12人のメンバーは、それぞれの技術を生かし、ブルーベリーやブドウ、シイタケなどを栽培。就農希望者の支援も活動の目的で、昨年は1人を雇用した。長い歴史を持つ明日香村の未来を見据え、農地や景観の保全に邁進〈まいしん〉している。
<写真=園児がブルーベリーを摘み取るのを笑顔で見る西本さん(左)と森本さん>
耕作放棄地再生しブルーベリー農園や農業体験
「子供たちが来るとにぎわいがある。将来は地元に残り、集落を守ってほしい」と話す、一穀あすかの西本泰雄代表(76)は、橘地区の9棟のハウス(50アール)でトマトやイチゴを栽培する。
一穀あすかでは毎年、地元の幼稚園児を招き、ブルーベリーなどの収穫体験を行う。大学生や若い女性などを対象にしたアワやキビ、米など五穀の栽培体験にも取り組む。
橘地区では、2年ほど耕作されなかった高台の畑を、村からの助成を受けて整備。観光客が減る夏季に人を呼ぶため、2006年にブルーベリー700株を植えた。農地は、明日香村地域振興公社を通じて地主7人から借りている。
事務局長の森本吉秀さん(53)=水稲40アール=は「地主も負担し、多額の補助金を使って基盤整備した農地が荒れている。まず、そこからなんとかしたかった」と説明する。
観光農園は、手間のかかる収穫作業を省けるのがメリット。園地の草刈りや受付はメンバー全員で協力する。7月上旬から8月下旬までオープンし、県内や近隣府県の家族連れや女性を中心に、昨年は1200人が訪れた。価格は大人800円(食べ放題・時間無制限)だ。
村の西部にある真弓地区では、高さ約15メートルの竹やぶになった圃場があり、一穀あすかが06年に竹を切り、重機で抜根し、農地を再生した。
<写真=ブドウに袋をかける窪田さん(左)と難波晶弘さん>
○農業共済新聞1面より